学長室 - 日本武道学舎ブログ

日本武道学舎 学長・吉田始史のブログです。
空手や合気道など武道の稽古で感じたことや、健康に関すること、 本の出版に関することやエッセイ、メールマガジン情報などを書いています。

2020-01-11 22:15

丹田と内臓の関係

  腹圧と内臓

物を持ち上げる時、腹圧を高くして持ち上げると腰を痛める危険性が少なくなります。これはバルサルバ効果と言って一般の人が部分的な腰の筋肉のみを使い物を持ち上げるのに対して腹圧をかけることにより「棒状」の支えではなく「筒」としての支えを利用することができるからです。

物を持ち上げる時、「息を吸いながら」という人はいないはずです。必ず吐くか止めるかのどちらかで行い、多くの人は息を止めているはずです。

その理由は息を吸うという動作の主役である横隔筋と背筋群や腹筋群は拮抗筋になるからです。つまり息を吸う時には横隔筋に力が入るため、その拮抗筋である背筋群や腹筋群には力が入りにくくなるためです。

拮抗筋という言葉がま新しい人もいると思いますので、ここで解りやすく説明いておきます。誰もが知る「力こぶ」を作る動作を思い出してください。力こぶである上腕二頭筋とその裏にある上腕三頭筋が拮抗筋となります。


さて、この腹圧を高めるという効果は腰を痛めないというだけには留まりません。内臓を定位置にとどめる働きもこの腹圧がカギを握っています。高齢者の下腹がポッコリと出ているのを見たことがある人は多いでしょう。何故、ポッコリ出ているのでしょうか。その原因は腹圧にあります。加齢に伴い筋力は低下していきます。特に運動や力仕事をしていない人は筋力の低下が顕著です。当然、腹筋群や背筋群という腹圧を高める筋肉群の筋力は低下していきます。それに伴い支えがなくなるわけですから内臓も重力に抵抗できずに地球の中心へと向かうことになります。

腹圧を高める効果はそれだけにとどまりません。後に呼吸のところで詳しく紹介しますが、自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、太陽神経叢はその交感神経が集まっている場所でその働きをも活性化させる働きもあります。

編集後記

今週は雪が降らないようです。この少なさは45年ぶりとのこと。この後が恐ろしくもあります。

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