学長室 - 日本武道学舎ブログ

日本武道学舎 学長・吉田始史のブログです。
空手や合気道など武道の稽古で感じたことや、健康に関すること、 本の出版に関することやエッセイ、メールマガジン情報などを書いています。

ストレスと細胞破壊

2020-03-04 13:09

年間の自殺者が3万人を超えてから何十年が経過したでしょうか。その傾向は未だにあります。あらゆるストレスが我々に押し寄せて来ているのでしょう。

脳の視床下部でストレスを認識されると、視床下部はストレスによって体が受けたダメージを回復しようと「下垂体」という場所に指令を出します。下垂体は、ダメージ回復の実働部隊ともいうべき副腎にストレス軽減に役立つホルモンを出すように指令します。これによって出るのが「コルチゾル」というホルモンです。

 しかし、ストレスが続きすぎると副腎も疲れるためホルモンを出すことを休むように脳が指令を出します。これが副腎の疲労状態で「アドリーナル・ファティーグ」というものです。

 人間は60兆の細胞からできており、その60%が水分であるとされていますが、それは60兆の細胞それぞれが60%の水分を抱え込んでいることを意味します。細胞にそれだけの水分を保たせているのは「マイナス75ミリボルト」という細胞の内側と外側の「電位差」です。

 ストレスが加わるとこの電位差に乱れが生じ、細胞から水分が失われます。この時、失われる水分というのは、ただの水分ではなく細胞が活動するときに必要な養分など色々な大切なものを含んでいますから、細胞自体の活力が失われるのです。このとき、細胞レベルのダメージを回復させることができるのが、「糖(グルコース)」です。そしてコルチゾルは、この糖が細胞に行き渡り易くなるように、血糖値をコントロールする働きを持ったホルモンなのです。

 コルチゾルが増えると血糖値があがり、コルチゾルが減少(正常化)すると血糖値が下がる。

 コルチゾルが血糖値を上げるのに対して、すい臓からでるインシュリンが血糖値を下げるように考えられていますが、細胞が血液中の糖分を取り込むためにインシュリンが必要です。

 糖尿病は、大きく分けて、すい臓の機能自体に問題が生じてインシュリンが出なくなるⅠ型と、すい臓の疲弊によってインシュリンが出なくなるⅡ型があります。糖尿病を放置しておくと症状が悪化して、決まってみんな痩せていきます。これは、血液中に糖がいっぱいあるのに、インシュリンが足りないため、細胞に養分を取り込めないのが原因です。

 インシュリンとコルチゾルは、たんに反対の性質をもっているのではなく、互いに協力し合って細胞に養分を送り込んでいるのです。つまりコルチゾルとインシュリンは一緒に働くため、ストレス状態が続き、副腎が疲弊するとコルチゾルを出しているときは、インシュリンを出すすい臓も仕事が増えるので疲れています。

 たとえ太っていなくとも、食べ過ぎていなくとも、ストレスの多い生活をしていると、糖尿病のリスクは高くなるのです。

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