学長室 - 日本武道学舎ブログ

日本武道学舎 学長・吉田始史のブログです。
空手や合気道など武道の稽古で感じたことや、健康に関すること、 本の出版に関することやエッセイ、メールマガジン情報などを書いています。

水野南北 人の体は食べ物でできている

2021-02-19 00:03

 「何かをすれば・・・になる」「これを使えば・・・になる」

つまり足し算ばかりしている現代は商業時代とも言えます。しか

し、人類の歴史はそれとは違います。ここでは足し算ではなくお

金のかからない引き算をすることにより、より健康になることを

紹介します。

 身体だけではなく、それは心も変えることができますから是非

一度試してください。 

 

 少食にすれば腸相が良くなります。 腸相が良くなれば人相が良

くなります。 人相が良くなれば運命が好転します。 水野南北先生

の人相と食事の関連を見抜いた慧眼には感心させられます。

 

 水野南北先生は人相学の大家でしたが、人相では運命は決まら

ないと言うばかりか、 人相よりも重要なのは食事だと主張してい

るのですから、非常に興味深い卓見です。 博打をしても何をして

もいい、ただし食だけには気をつける事。 寿命も食べ物も人それ

ぞれに与えられた分量があるといいます。

 

人は死ぬまで食べ続け、食べられなくなった時、命が尽きます。

実際、少食にすると手相の生命線が伸びるそうです。 水野南北

先生は、日本の少食療法の元祖と言ってもよい存在です。 実際、

江戸時代でも栄養過剰の裕福な層の人々には生活習慣病が現れ

ていました。 善相で良運で健康的でも、美味贅沢や淫色肉食を

していれば、次第に貧窮短命となります。 悪相で凶運で病弱で

も、一飯一菜を心掛けて節食していれば、次第に富貴延命とな

ります。

 

 世間にはあらゆる成功哲学や自己啓発が溢れていますが、 人

間の運命の根底にあるのは食の節制です。 食を厳しく節制する

事によって、健康、立身、出世、蓄財、幸福、長寿のすべて得

られるのです。 仏教には「不殺生」という教えがありますし、

旧約聖書には「汝殺すなかれ」という言葉があります。 東洋

哲学では、人間が沢山食べると、間違いなく罰が当たるという

思想があります。

 

 食べるという事は、他の動物や植物の命を奪うという事です。

つまり、沢山食べる人は沢山の命を奪っているという事です。

自然界には、必要以上に食べ過ぎる事には罰が与えられるとい

う仕組みが存在しています。

 

 それが食べ過ぎる人には病気や早死にがもたらされるという事

ではないかと考えられます。 私たちは生き物を殺さないと生きて

いけませんが、それを最小限にしなければなりません。 最小限と

いうところのバランスについては、東洋の思想に、六:四という

思想があります。 腹八分目というのは後世の人が作ったものです。

東洋哲学には、腹八分目という考え方はありません。 腹八分目と

いうのは、『養生訓』の貝原益軒先生や江戸時代のお坊さんたち

が言い出した事です。

 

 東洋医学の原典とされる『黄帝内経』には、六:四という比率

が記述されています。 自分が食べたい欲望を60%に抑える事が一

番健康で長生きできる術なのです。

 

 アーユルヴェーダでも食事は、胃袋の三分の一は固形物、三分

の一は液体、 残りの三分の一は消化のためのスペースで食べなさ

いと言われています。

 

 つまり、腹六分目という事です。 ヨガの有名な教義があります。

「腹八分目で医者いらず。腹六分目で老いを忘れる。腹四分目で

神に近づく」 ヨガ5000年の教えは、すでに「腹六分目で老いを忘

れる」という生命の真理を喝破していたのです。 水野南北先生の

思想は石塚左玄先生に受け継がれ、 桜沢如一先生によってマクロ

ビオティックとして体系化されています。 

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