学長室 - 日本武道学舎ブログ

日本武道学舎 学長・吉田始史のブログです。
空手や合気道など武道の稽古で感じたことや、健康に関すること、 本の出版に関することやエッセイ、メールマガジン情報などを書いています。

「仙骨」と姿勢

2020-04-16 23:51

 正しい姿勢を考えるとき、先ず考えるべきことは
骨格です。骨格を知ることで正しい筋肉の使い方を
知ることができます。
 骨格と筋肉の協演が動きとなるのですから。

さて、全てのものには中心がありますが、骨格の
中心となるべきところはどこでしょうか。もちろん
頭が大切だと言う意見もあるでしょうが、「動きの
中心」となるところと、考えてください。

答えは「仙骨」です。

昔、この仙骨は「神が薦(すす)める骨」とい
う意味で「薦骨」という字が宛てられていました
が、現在の「仙骨」は、同じ読みでも画数の少な
く、少し神秘的な意味合いも含めた「仙人」の
「仙」で代用したものです。

確かに人体の骨のなかで、蝶形骨と仙骨だけが、
セラミックなどで代用できない骨であることや、
ドイツでも「十字架」という意味の言葉を宛てら
れ、英語でも神聖なという意味のセイクラムとい
う言葉が宛てられていることをみても大切な骨で
あることがわかると思います。

さて、この「仙骨」という骨は文字通り人間の
バックボーンである脊髄(背骨)を載せている骨
です。
 
 つまり、この仙骨の角度を変えることで、背
骨全体の角度を変えることができるのです。
ですから「仙骨」が動きという視点から骨格を
見ると中心といえるのです。

さらにこの「仙骨」は動きの中心だけではな
く、骨そのもの、あるいは人体の中心ともいえ
る逸話も歴史には数多く残っています。

死後、再生を願い信じる文明では、最後まで
腐らずに残る骨であることから再生復活する際
に、この骨を中心にして肉体が生き返るなどの
ユダヤ人の伝説をはじめ、古代エジプトでも
「オシリス(豊穣の神、冥界の支配者)の背骨」
と呼ばるなど、マヤ文明などでもこの骨は神聖
視されていました。

動物の仙骨を神への捧げものとした歴史や、
生殖器を保護する大切な部位として考えられて
いたり、サクリファイス「犠牲」、サンクチュ
アリ「聖域」などは仙骨を意味するセイクラム
から派生している言葉も数多くあるようです。

時には、自分の身体に目を向けてみるのも良い
のではないでしょうか。

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